ホーチミンシティからプノンペンへの国境越え@モクバイ国境/カンボジア

ベトナムからカンボジアの国境越えについては、2002年の夏の時点では、2つのルートがあった。
一つはホーチミンシティから陸路で国境(これをモクバイ国境と呼ぶ)を越えて、プノンペンまで行くルート。

もう一つが、メコンデルタを船で通って一泊2日でプノンペンへ通るルート。
これは、最近開発されたルートらしい。

ただ僕は、メコンデルタを通るルートはこのとき考えなかった。
それは、まずとにかく、この陸路ルートを通ってなかったからだ。

実は僕は、1994年にプノンペンからホーチミンシティへバスで国境を通過しようと考えたことがある。
そのとき、プノンペンでベトナムのビザを取るのに時間がかかって、トランジットビザしか取れず、プノンペンからホーチミンシティへ飛行機を使ってしまったんだ。
そうなると、やはり、昔できなかったバスで通りたくなるものだよ。

出発の前日、カンボジアのビザは、僕はシンカフェに頼んで、22ドルで取ってもらった(朝申請してその日の夕方にビザゲット)。
自分で取ると、20ドルで済むようだが、2ドル節約するためにわざわざ自分で申請するのは面倒だしね。

ベトナムのホーチミンシティ、シンカフェ前は、各地へのツアーバスが次々に出発するので、特に夏の観光シーズンは、ものすごい混雑だ。

8時45分出発予定のバスが来たのが8時54分。
バスは50人乗り程度の普通の大型バスで、荷物はバスの車体の下の荷物室へ収納する。
乗客は25人程度なので、2人掛けシートを1人で占領できて、デイバッグを横のシートにおいて、ゆったりと座れる。
これはとてもキモチイイね。

バスが発車したらすぐに、乗客の名前を呼び上げてチェックして、一人一人のビザのあるなしを確認する。
ビザを持ってなくてどうするのかと思ったら、係員が「ビザは国境で取れますから大丈夫ですよ♪」なんて言ってるよ。

でもまあ、国境で時間に追われて、バタバタしてビザを取るのはキモチよくないから、前もって取っておいた方がいいでしょうね。
ホーチミンシティを出て、モクバイボーダーへ到着するまで、舗装された気持ちいい道路を特にスピードを出すわけでもなく、すんなり走ってゆく。

モクバイ国境に近づくと、車内で国境の越え方のレクチャーがある。
シンカフェのバスは国境までで、そこから歩いて国境を越える。
カンボジア側では、キャピタルツアーのバスが待っているのでそれに乗り換える。
国境からプノンペンまでは4時間半で到着、との話だ。
これはキモチイイね。
カンボジア川の道路が悪いと聞いていたが、だんだんよくなってきたのだろう(と思ったがウソだったよ)。

10時40分に国境前のガソリンスタンドで休息。
乗客はここでトイレに入る。
まあ、トイレに入るのは重要だよ。
ベトナムの出国審査、カンボジアの入国審査の時にトイレに行きたくなったら大変だからね。

バスを降りて、バックパックを受け取り、カンボジアの出国審査へ進む。
両替屋が寄ってきて、カンボジアの通貨リエルへの交換を持ちかける。
この時のレートが「1ドル=3800リエル」という。
これは、かなり悪いレートだし、カンボジアではドルの現金で通用するのを知っているので、両替はしない。

出国審査の窓口に旅行者が並んだが、係員がなかなかあらわれない。
現れたら、すんなりと通過する。

水溜りとぬかるみの道を歩いてカンボジアへ。
カンボジアの入国審査の横に、ビザセクションがあり、ここで20ドルでビザが取れる。

入国審査の列に並んで、カンボジアの入国カードを書く。
滞在期間は14日間と申請して、一ヶ月の滞在許可をもらった。
とっとと入国手続きを終えて、キャピタルツアーのバスを捜すと、泥だらけのバスを2台発見。
出発まで時間があるので、小さなレストランで昼食をとることにする。

出発は午後1時半。
僕は国境で知り合った日本人旅行者諸君といっしょに、韓国製のマイクロバスに乗る。

国境からのカンボジアの道路は、とにかくものすごい悪路で、全くスピードが出せない。
バスは、道路の穴を避けて走るので、ゆっくりと右へ左へとくねって走る。
特に8月で雨季なので、道路の穴には水が溜まってて、それを跳ね上げるので、バスは泥だらけだ。

途中でトラックが路肩から落ちてひっくり返っていて、渋滞して30分ほど動かない。
これを利用して、立小便をしたり、旅行者同士で「こりゃ大変な道ですねー(笑)」と慰めあったりして、徐々に仲良くなっていく。

なにやら大きな川を渡ったのが午後5時。
国境を越えて4時間半でプノンペンへ到着すると聞いていたので、川を越えたらプノンペンと思って少し元気が出たが、それは違っていた。

ここでガイドがバスに乗り込んできて、パンフレットを配って、キャピタルホテルの紹介やツアーの紹介なんかを始める。
バスの中では、「4時間半で着くなんて大ウソでしたね!」と、話がさらに盛り上がり、さらに旅行者は親しくなる。
共通の敵を作れば、団結するってわけだね。
しかし悪口を言うのにも疲れて静かになる。
それからさらに3時間以上走って、キャピタルホテルのレストランに横付けしたのは午後8時半ころだった。

出入国の手続き、国境でのバスの待ち時間、途中の休息時間、そういうのを全部ひっくるめて、ベトナムのホーチミンシティからカンボジアのプノンペンまで約12時間かかったことになる。

とはいっても、「Lonely Planet」によると、この国境越えは6〜7時間で可能だとか。
ただ、雨季には2倍かかることもあると書いてある。

道路がきちんと舗装され整備されれば、一気に通過することもできるだろうね。
そういう意味では、道路が悪い時期に、雨季に12時間掛けて国境を越えたことは、バックパッカーにとっては勲章なんだよ(笑)。

海外個人旅行ではとにかく、すんなり通りましたでは、ちっとも面白くないんだからね(笑)。
それに、すんなりと通過してしまっては、旅行者の共通の話題がなくなって、親しくなれないしさ。

【写真】キャピタルツアーのマイクロバスで、ちょっと一休み
【旅行哲学】道が悪くても、たどりつく先がわかっていれば安心だ。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20050505