日本がサッカーでイランに勝てない理由@テヘラン/イラン

1999年、世界旅行者はパキスタンから陸路でイランへ入った。
パキスタンのクエッタから、夜行バスで国境へ、そのままタクシーを相乗りして、イランのザヒダンへ。
ザヒダンから、バム(アルゲバム)、ケルマーン、シラーズ(ペルセポリス)とバスで移動。
イランのバズの特徴は、とにかく安いこと。
しかし、とにかく景色に変化がなくて、ただひたすら退屈だ。
シーラーズに到着したころはすっかりバスに飽きてしまっていた。
シーラーズでタクシーを借りきり、ペルセポリスの遺跡を見ると、もうこれで思うことは一つ。
とっととイランを抜けよう!
シーラーズでたまたま見つけた旅行代理店でイスファハンへの航空券を買う。
シーラーズからイスファハンが9万1千リアル、この時のレート(1ドル=9000リアル)でたった10ドルだ。
イスファハンのイラン航空のオフィスで、イスファハン〜テヘラン(9万1千リアル)、テヘラン〜タブリーズ(11万3千リアル)を予約して購入。
イランの交通費は異常に安いのが特徴。
長距離バスも、航空運賃もとにかく安い。
問題はバスターミナルや空港から町へのタクシー代が高いこと。
ま、高いといっても、比較の話だけどね。
イスファハンからのフライトが午後6時、テヘラン着が6時45分。
夜になっているのに、知らない町で、宿を見つけなければらないのがちょっと問題。
テヘランの空港ターミナルから外に出ると、タクシーが並んでいる。
目的地は日本人旅行者が多いと噂の「カザールシー」と決めているが、もちろんタクシーがこんな安宿の名前を知っているはずがない。
タクシーは最初3万リアルと言う。
飛行機に乗って9万リアルなのに、タクシーで3万リアルはおかしいと思うでしょ?
でも、タクシーは結構取るんだ。
3万リアルを2万リアルまで交渉して下げると、「他の客と相乗り」というので怒ってやめる。
別のタクシーに「エマームホメイニ広場(メイダーン・エマーム・ホメイニ)」までと交渉して、18000リアル(2ドル)で決める。
ただ、これは他のイラン人女性と一緒になる。
タクシーはまずこの女性を送り、それから僕の目的地へ行くようでありながら、言葉が通じないので、不安になる。
「Lonely Planet」の地図の感覚で、エマームホメイニ広場から、「アミールキャビール通り(ヒャバーン・アミール・キャビール)」へ入ったところのような気がして、タクシーを降りる。
降りてもさっぱりどこかわからない。
通りかかった上品そうな父娘に英語で聞いて確認すると、娘が通訳してくれたが、まだずいぶん遠いところだった。
しかし、世界旅行者はだいたいの感覚がわかれば、どんどん歩ける。
あと開いている商店に飛び込んで、場所を確認しながら歩いていくと、とうとうアミールキャビール通りへと出た。
通りを歩いていくと、なにやらホテルらしいものを見つけたので、入っていく。
別にどうしてもカザールシーに泊まる義理はないんだから。
するとそのホテルの受付のおじさんが、英語のわかる宿泊客を呼び出してくれる。
この宿泊客が、僕を連れて一緒にホテルを捜してくれた。
かれは、アゼルバイジャンのバクーからきた商人らしかった。
大感謝して別れる。
カザールシーの受付のおじさんは、とてもいい感じだ。
16000リアル(2ドル弱)でダブルの部屋を取る(31号室)。
ただ、部屋は汚かったし、トイレもシャワーもよくなかったね。正直。
日本人が集まっているという情報でやってきたのだが、日本人は一人もいなかった。
受付にしばらくいると、日本にしばらくいて中古車の輸入をしているというイラン人男性が話しかけてきて、ちょっと盛り上がっただけだ。
翌日、テヘランを歩いたが、テヘランの通りはビッシリとタクシーで埋まっている。
とにかく走っているのが、タクシーだけなんだ。
また、町には交通信号は存在するが、それが電気が切られていて、使われていない。
ということは、通りを横切るのは本当に命がけってことね。
通りを横切る時は、双方向から来るタクシーの合間を見つけて、道路に飛び出し、タクシーをよけながら渡らないと、いつまで立っても道路の向こう側へたどり着けないんだから。
だって、交通信号がないんだから。
で、僕は思った。
イランの若者は、通りを渡る時でも、周囲の状況を瞬時に判断して、しかもタクシーを次々によけながら道を渡っている。
それが日常なんだ。
ということはだよ。
サッカーは上手に決まってる。
瞬時の判断力、タクシーをよける身の軽さ、危険の中に飛び出す勇気、決断力、それをイランの若者は全員持ってるんだよ。
そのときにだね、世界旅行者は思った。
「日常からサッカーの練習をしているイランに、日本は勝てないだろう」ってね。
2005年3月25日21時28分。
日本対イラン戦のサッカー試合の前に。
【写真】ペルセポリスの遺跡
【旅行哲学】イランでは道路を横断することもサッカーの練習だ。
この話 http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20050325
