東鶏冠山保塁にて@旅順/遼寧省/中国

中国東北地方(旧満州)を個人旅行で訪問する人は多くない。
それは、歴史を知らなければ、ちっとも面白くないからだね。
日本の中国侵略について、調べ、考えている世界旅行者は、いつかは旧満州国地域へ旅しなければならないと思っていた。
しかし、中国東北地方の玄関大連へは、成田から飛行機で2時間も飛べばすぐに行ける。
九州へ行くのとたいした違いはない。
いつでも行ける。
というわけで、放ってあった。
ところが2003年9月1日に、短期の観光旅行の場合は日本人が中国ビザが不要になった。
これを読み解くと、旅行神が「世界旅行者よ、もう世界中行きつくしたのだから、そろそろ旧満州の地に立ちなさい!」と呼びかけているんだよね。
そこで、敢えて、そのビザなし観光が解禁となるその日「9月1日」に大連へ飛んだ。
こうでなければ、世界旅行者じゃないんだよ。
僕はね、こういう話のネタを、念入りに一つ一つ作るから、世界旅行者と呼ばれているってわけだ(笑)。
大連から、すべて鉄道で、ハルビン、長春、瀋陽と旅をして、大連へ戻る。
そして一日余裕がある。
すると、もちろん、日露戦争で乃木将軍の第三軍が攻めまくって、膨大な使者を出した、ロシアの要塞旅順跡を見ないわけにはいかない。
だって、東北地方の旅とは、日清戦争、日露戦争、満州事変、満州国成立、旧ソ連の侵攻による満州国崩壊、日本軍のシベリア抑留、強制労働、さらに共産軍と国府軍の中国支配をめぐる戦争へと続く歴史がなければ、何にもないところなんだからさ。
(もちろん、清の発祥の地の王宮なんかもあるんだけどね)
ただ、旅順は中国海軍の基地になっているので、外国人観光客は許可がないと入れない。
そのツアー料金がバカ高いんだよね。
で、ちょっと知り合った「定年退職後、あちこち旅をしている」という今風の高年齢旅行者を誘って、二人で旅順ツアーへ参加することにした…。
(ま、これが面白いネタなので、まだ発表できません)
マイクロバスに乗って、まず訪問したのが、ロシア軍の要塞、東鶏冠山保塁。
これは、ベトン(コンクリート)で固められた、難攻不落の要塞だった。
日本軍は白兵突撃を繰り返し、莫大な死者を出した。
世界旅行者が立っている後ろには「日軍爆破口」と書かれた、青いプレートがある。
僕の左側が日本軍が要塞を爆破した穴だという。
ガイドの蒋さんに「日本では日露戦争までは正しかったと考えてます」と言ったら、「なぜですか、戦場になったのは中国の土地ですよ」と言われてしまったよ。
【写真】東鶏冠山保塁日軍爆破口前に立つ世界旅行者
【旅行哲学】空間だけではなく時間を旅するのが本当の旅。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20040930