梨泰院(Itaewon)@ソウル/韓国
1990年4月末、世界旅行者は第一回目の世界一周旅行の最後の国を韓国に選んだ。
その理由は、ただ海を渡って日本へ戻ってくるため、だったんだけどね。

ロサンジェルスにいたとき、そのころ若者が使う安い航空券といえば、大韓航空だった。
だから、ソウル経由で飛んでくる旅行者も多かった。
また、ロサンジェルスからソウル経由で日本の郷里へ戻る人も多くて、ソウルの噂をよく聞いた。
彼らはソウルで安い買い物をして日本へ戻るようだった。

それによると、ソウルの梨泰院(イテウォン、Itaewon)という通りには、外国人向けの安い店が並んでいるという。
しかも、李さん朴さんが考案したという噂の、そのころ人気だった「REEBOK」が安く買えるらしい。

でもまあそれが本当にしろ嘘にしろ、ソウルへ行って、それだけ評判の梨泰院を見なければ、世界旅行者としての立場がない。
日本が建てたソウル駅からタクシーの相乗りで梨泰院へ(1400ウォン、この時期280円)。

注)
1990年の春、1ドルは150円を越えていた。
韓国ウォンのレートが1ドル=699ウォンだったので、
100ウォン=20円と計算している。ウォンを5で割って円にするという考えだ。

タクシーを降りて歩き出すと、すぐに日本語で「なに捜してますか?」と声がかかる。
すぐにリーボック屋に連れ込まれる。

店に入って、リーボックのニセモノをチェックするが、言い値が8500ウォン、つまり1万7千円)。
これは高い。
米国で買う本物の値段よりも高いくらいだ。

もちろんこれは最初の値段で、いくらでも値切れるとは思うけどね。
それでもどういうものか見たいので、適当に値切りながら、靴を持ってきてもらう。

そのニセリーボックを念のためにチェックしてみると、本物とは似ても似つかない、全く違う安っぽいクツなので、あっさりと買うのをやめる。

次に、ニセモノはダメだからと本格的なデパートに行ってみると、リーボックが35000ウォンだ。
これで、7000円。
7000円のリーボックをわざわざソウルで買っても意味ないよね。
あとで明洞(ミョンドン)のナイキショップに行ってみたら、それほど高級でもないナイキエアが21000ウォン(4千円)。
そんなに安くはないよ。

なにしろロサンジェルスでは「LAギア」が20ドル(3000円)程度で売ってあったしね。
他にも革ジャン屋の客引きがすごかったが、信用できないので梨泰院をとっとと脱出。

23番の市バスに乗る。
すると、バスの運転手が、前に割り込んできたタクシーとケンカを始めた。
バスを止めて、自分から降りて、タクシーの運転手と言い合いする。

バスの乗客は驚いた様子もなく、バスを降りて別のバスに乗り込む。
見ていると、バスの運転手はタクシーの運転手の襟首をつかみ、パンチを食らわせている。

これは普通の日本人の神経では、とても耐えられるようなところではないね。
そのあとソウルタワーへ登ったが、スモッグでほとんど景色が見えなかった(涙)。

物価は高いし、物は安っぽいし、ごみごみしていて、すべてについて乱暴。
世界旅行者の結論としては、ソウルはわざわざ金を使ってまで行くようなところではない。

【写真】梨泰院
【旅行哲学】韓国は日本人には合わない。