「Lonely Planet」を読む効用@ヒッカドゥア〜コロンボ/スリランカ

鉄道でコロンボからヒッカドゥアビーチへ行ったら、スリランカ人から列車の中で声をかけられる。
世間話をしていてちょっと親しくなったら、結局、話は「泊まる宿はあるか?」という方向へ進む。
「ヒッカドゥアビーチに行くと客引きがしつこくて大変だよ」とのアドバイスも受ける。
なんとなく言われるままに、ヒッカドゥア鉄道駅の手前で降りて、このスリランカ人の家に泊まることになった。
自分の家の部屋を3つくらい観光客に貸していたたけで、彼は単に客引きしてたんだよ。
部屋はそんなに悪くなくて、きれいにしてあって、頼めば食事も出してくれる。
イギリス人の旅行者が2人泊まってて、結構話も弾んだ。
ただ、ちょっとヒッカドゥアビーチの中心から遠かったのと、やはり個人の家というのは気を使う。
僕は夜寝る時に本を読むので、ベッドランプがないのがつらかった。
だから翌日には、ビーチ沿いのホテルをチェックして回って、ドイツ人経営の小さなホテルへと移動した。
そしてヒッカドゥアビーチに泊まったままで、コロンボへ行っては、航空券の予約変更や確認などをやっていた。
もちろん、コロンボ観光もヒッカドアビーチを起点にやってたよ。
このときは、ヒッカドアとコロンボの間を走っている、民間のマイクロバスを使ったが、またこれがぶっ飛ばすんだよなー。
身の危険を感じるほどだったよ。
だから、コロンボ経由で古都キャンディへ向かおうと、ヒッカドゥアビーチを引き上げる時は、バックパックもあったことだし、また列車に乗った。
その中で声をかけてきたスリランカ人がいて、「覚えているか?」と言うんだけれどさ、僕は記憶になかった。
実は最初の日に僕を民宿へ連れて行った男だったんだ(笑)。
僕は本当に人の顔を覚えられないんだよなー。
なにしろ、高校時代の同級生の顔をずっと覚えられなかったくらいなんだから。
これって、最近思うようになったんだけどさ、結局僕って、ものすごく自己中心的だから、他人にほとんど興味がないんだろうね。
ま、そういう性格的な欠陥はともかくだよ。
コロンボへの列車が混んでいて、車両の連結部にたって「Lonely Planet」をかなり一生懸命に読んでいた。
なぜって、これから行こうとしているキャンディについて、何も調べてなかったからね。
これはまた、僕の計画性のなさといういい加減さの現われなんだけど。
ただ、海外個人旅行では、計画しない方が面白いことが起きるわけで、そういう意味では、海外個人旅行に向いていると思わないこともないんだ。
つまりこういう風に、何でもかんでも自分に都合のいいように考えてしまう性格だってことだけどさ。
ま、気楽だといえば気楽な人間だよ。
僕は英語の旅行ガイドブックを真剣に読みふけっている東洋人。
すると、白人旅行者が声をかけてきたよ。
旅行者同士の話は決まっていて、「どこへ行くんだ」「どこから来た」「どのくらい旅をしている」程度の情報を交換する。
そのあと彼は、「キミはアメリカインディアンか?」と言い出したよ。
そこで、「残念ながら、僕の祖先はベーリング海峡を渡るほど度胸がなくて、日本に留まってたんで、日本人だよ」と気の利いた答えをする。
そうしたらなんと「キミは京都大学?」とズバリ当ててきた。
なぜ僕の卒業大学までわかるのかと不思議に思って聞くと、彼もインドからやってきたそうだが、インドで京大の学生にたくさん会ったからだそうだ。
だから、彼の頭の中では、この時期この地域を旅行していて、英語がしゃべれて、頭が回転する人間=京都大学関係者という回路が出来上がっていたようだ。
確かにこの時期、ネパールでも北部インドでも、京都大学のしかも女の学生が変に多かったんだ。
ネパールの日本大使館では、京大霊長類研究所の人間と偶然出会ったしね。
そのうえ、ネパールのポカラで、京大の学生で医者の娘と同じ部屋で過ごしたこともあったんだからさ。
ま、同じ部屋で過ごしたといっても、エッチはしてないんだけどね。
その女の子はエッチしたかったみたいなんだけど。
この話は、かなり面白いので、別の機会に紹介するので楽しみにね。
このころは、普通の人間はインド方面へは旅してなかったから、旅先で出会う旅行者もかなり個性的で、優秀な人間が多かったね。
最近は、ドラッグだけが目的の、わけのわからない連中が多いと聞くけどさ。
結局、「Lonely Planet」を読んでいるってことは、英語が読める、話せるってことだし、もちろん旅行者だとミエミエなんだから、他の旅行者も安心して話しかけられるという意味ではいいだろうね。
それは、海外の観光名所で、不安なまなざしで「地球の歩き方」を読んでいれば、日本人旅行者のカモだと名札を下げているようだってことと一緒だけどね(笑)。
このインド亜大陸縦断旅行から、僕は「Lonely Planet」の大ファンになって、それ以来使い続けている。
なにしろ、帰りに寄ったバンコクで「Lonely Planet」のJAPANを、わざわざ購入したくらいなんだから。
【写真】そのとき読んでいた「Lonely Planet」
【旅行哲学】英語のガイドブックを読んでいると、英語で話しかけられる
