「クイーンズホテル(Queen’s Hotel)」@キャンディ/スリランカ
南インドから、スリランカへ飛び、ヒッカドアビーチにしばらくいて、モーターサイクルでゴールへ往復したりした。

次に鉄道でスリランカ内部の古都キャンディへと向かう。
乗客もほどほどで、窓から見る景色もきれいだし、たいした時間もかからない(3時間程度)、気持ちのいい列車の旅。
ただ、ゲストハウスの客引きが声をかけてきてウザッタイ。

これは、コロンボからヒッカドアビーチの時に一度体験していた。
その客引きの話に乗って、個人の家に泊まったが、やはりちょっと居心地が悪かったので、個人の家やゲストハウスは避けるつもりだ。

客引きがノートを開いてみせると、そこには日本人が「とてもいい人です」「お世話になりました」などと、たくさん書いている。

でもこの文章を読んでいる皆さん、この話は確か1980年代前半のことだよ。
そんな時代でも、インドやスリランカの観光地には日本語の推薦文を持った客引きがたくさんいたんだ。

ところでそのノートを暇つぶしに読んでみたら、なかに「この人のゲストハウスは見晴らしがよくて、とてもきれいです。親切に町まで車で送ってくれました」とある。
こういう文章には裏がある。

つまり、このゲストハウスは見晴らしがいいところ、つまり山の上にあって、車がないと不便だという意味だよ(涙)。

そんな不便な宿は、絶対に避けなければならない。
個人旅行者がある町に滞在する時は、絶対に町のど真ん中に泊まること。
これが鉄則なんだ。

だって、そんなに長くいるわけではないのだから、とっとと町を見て歩くことが大切。
町の中心には必ずホテルがあるものなのだよ。

そこで「Lonely Planet」の「Sri Lanka a Travel Survival Kit 3rd. edition」を読むと、キャンディはキャンディ湖の湖畔にある小さな町だとはじめてわかった。

有名な仏歯寺(ブッダの歯が収められているお寺, Temple of the Tooth)も湖のすぐ横。
ということは、湖の周囲を歩いたり、仏歯寺へ行くにしても、町のホテルに泊まるのが都合がいいわけだ。
ただ問題は、ホテルの料金と施設。

キャンディの鉄道駅から道なりに町の中心へ歩くと、客引きがしつこく付いてくる。
面倒なので、目に留まったいかにも由緒ありげな、高そうなホテルへ入ってみた。
これが今でもキャンディのコロニアルホテルとして有名な「クイーンズホテル」だった。

客引きは「そこは高い、100ドルするよ!」と声をかけるが、さすがにホテルのロビーからフロントまでは一緒に来るのを遠慮している。
僕は「こりゃ高いだろうけど、一応値段を聞くだけ聞くか…」と堂々とした態度で部屋の値段を聞いた。

すると、シングルルームで300ルピーだという。
この時期、1ドル=25ルピーくらいだから12ドル。つまり1500円だ。

全体が木造のコロニアルスタイルで、僕の部屋はとても大きくて3つに分かれていたよ。
僕を見て人格が素晴らしいと見抜いて、ただものではないだろうとビビッて、一番いい部屋を出してくれた感じだった。

天井には大きなふるい扇風機があって、スイッチを入れるとゆっくりと回る。
窓からは、キャンディ湖と、その周回道路のよく茂った木々が見える。

これは素晴らしいホテルだった。
正直、ホテル自体が好きになったので、外へ出てもすぐに部屋へ戻って、じっとしていたよ(笑)。

今でも、僕はどこかの町へ行くと、すぐにバックパッカー向けの宿には行かない。
欧米人向けのバックパッカー宿は、案外と高いんだよ。

だから僕は、もともとその町にあってちょっと古ぼけたホテルへ入ってみるんだけどね。
それはこの素晴らしい、クイーンズホテルの経験があったからなんだよ。

【写真】クイーンズホテル
【旅行哲学】昔一流だったちょっと古ぼけたホテルに泊まるのが旅のポイント。

注)ただ、僕が泊まったのは1980年代で20年も前です。現在の状況については自分で調べてね。