サダゲストハウス@プノンペン/カンボジア

カンボジアの首都、プノンペン自体は、それほど見るものはない。
僕は1994年に、バイタクですでにめぼしいところはうろついている。

プノンペンに着いた翌朝、さっそくキャピタルのレストランへ行って、ツアーバスの出発を見送りながら、食事を取る。
そのあと、ぐっと安くなった自転車を借りて(1日1ドル)、まちをうろついた。

まず、想い出のプノンペンの中央郵便局、ここで絵葉書を出す。
次にキャピタルホテルと同じ通りにある「つうちゃん食堂」、ここでビールを飲んで人間観察をする。
ここの人間観察も、なかなか面白かった。

しかし、人間観察といえば、確かプノンペンには新しい日本人宿「サダゲストハウス」というのがあるはずだ。
そこにどういう人間がいるのか、ひょっとして面白いやつがいるのか、気になるのでチェックしにいこう!
ヒマだし(笑)。

そのサダゲストハウスを捜して自転車で聞きながら行くと、115番通りの74番地にあった。
これは、後でチェックしたら「地球の歩き方」も「旅行人」も住所を間違っていた(笑)。

サダゲストハウス 115street no.74

表には「サダゲストハウス」とカタカナで書いてある。
門をくぐるとちょっと広い中庭があって、そのテーブルに日本人旅行者がいたので、軽く「どーもー」と声をかける。
カンボジア人のスタッフには、「僕の友達の中村君が来てるはずなんだけど、泊まってないかなー?」などと声をかけて、落ち着く。

サッと見たところでは、客層は十代二十代の頭の弱そうな若者。
知的な感じは全くない。

まあ、この時期、東南アジアは、日本のわけのわからない若者がたくさんいたよ。
例えば、ベトナムのフエの日本人宿「ビンジュアン」にいた連中も、高校中退の雰囲気を漂わせた、気の弱そうな、友達がほとんどいないだろうという若者だらけだった。

しかしそこで、自分とは知的に合わないからと、あっさり諦めて帰ってしまうのが普通の人間。
世界旅行者は、馬鹿を見たらどれくらい馬鹿なのか確かめてみたい(笑)と思ってしまうんだよね。

これが、僕がパソコン通信やインターネットの海外旅行掲示版から離れない理由なんだよ。
つまり、普通の人間ならば馬鹿にするような連中を、さらに「どれだけ馬鹿か知りたい」という余計な欲求が出てきてしまうんだ。
だからこそ、本当の海外旅行が書けるわけだし、だからこそ一部の馬鹿からは嫌われるんだけどね。

というわけで、僕は近くの酒屋から缶ビール(アンコールビールのロング缶、2500リエル)を買ってきて、サダゲストハウスのテーブルに居座ったんだ。

そのとき20歳前後の痩せた若者がいて、彼女らしい18くらいの女が横にいた。
僕の印象では、彼らは朝からマリファナをキメていたね。

何か面白い話のネタがないかと、僕はいつも持ちあるいている文庫本を読む振りをしながら、耳をそばだてていた。
でも何も面白い話はない。
そろそろ帰ろうかと、立ち上がろうとしたとき、動きが起きた。

その男の子が日本の2000円札を3枚取り出して、ドルに両替するようにとホテルのスタッフに頼んだんだ。
でもそのスタッフの顔を見れば、絶対に信用できない人間だとわかるんだけどね。

スタッフはその金を持って、両替に飛び出した。
僕はその結果が気になるので、まだそこへ居続けることにする。

そんなに時間がたたず、スタッフは戻ってきた。
スタッフは「6千円は42ドルになったよ」と手渡しする。
若者は「サンキュー、二千円札も使えたよ」とうれしそうだった。

ぼくはそのレートを後で比較するために、文庫本のすみっこに書き込む。
キャピタルホテルのレストランに戻って両替レートを確認する。
ここでも両替をしていたが、日本の1000円をきっかり8ドルに替えている。

ということは、キャピタルホテルでは6千円=48ドル。
サダゲストハウスの若者が受け取ったのが、42ドル。

つまり、6ドルも誤魔化されているんだ!
こいつら馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、これで数字的にはっきりと証明されたよ(笑)。

いやー、これはいい話のネタが出来たよ。
やはり日本人宿には、行ってみるものだよね♪

【写真】サダゲストハウス
【旅行哲学】馬鹿な日本人旅行者を観察するのも、旅の大きな楽しみ。
1994年にたった10日間で、タイ、カンボジア、ベトナムを旅した話は、別に書いてあります。
「タイ・カンボジア・ベトナム駆け足旅行記」http://homepage3.nifty.com/worldtraveller/kakeashi/kakelist.htm
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20050506