シバームの旧城壁都市@シバーム(Shibam)/イエメン
砂漠の中に立つオアシス都市シバームには5〜8階建ての建物が500も集まっている。

「シバの女王」のシバは、オアシス都市シバームのことらしい。
乳香の貿易で栄えたとか。

NHKの世界遺産(http://www.nhk.or.jp/sekaiisan/)で、「砂漠のマンハッタン〜イエメン・シバーム」が放送されたあと、放送大学でもたまたま都市の構造の例として取り上げられたのを見た。

密集することで都市を防御する例がこのシバーム。
逆にそれぞれの家をばらばらに配置することで、一部を犠牲にして都市全体を守る形もあるようだ。

イエメンには3つの世界遺産がある。
それが「シバームの旧城壁都市」「サナア旧市街」「古都ザビード[危機遺産]」となっている。
このなかで、ザビードという町はコンクリートの修復がなされていて、昔の姿から変化しているので、世界遺産を取り消されるとの噂もある。
サナアとシバームは、共に砂漠の国に古くからの高層建築があるという、それだけのことだ。

イエメンという国は、もともとそれほど人気のあるところではなかった。
行きにくいし、行くとしても飛行機を使わなければならない。

またビザも必要だ(2005年現在は空港でアライバルビザが取れるらしい)。
これが人気が出たのは、旅行初心者で旅行経験がなくても、「イエメンに行った」と言えば他人に自慢できると考えた素人旅行者諸君が喜んで行ったからだ(涙)。

わけのわからない日本人旅行者が、イラクやアフガニスタンへ旅するのと同じ精神がそこには発見できるだろう。
それに、イエメンはそんなに安全なところではないよ。
まだ日本人旅行者が殺されていないだけだ。

日本人旅行者というのは、変なところでも一度人気が出ると、そこに集まり、日本人が集まると、ゴキブリのように集まり続けるという習性がある。
だから、イエメン旅行というのはそれ自体が面白いというのではなくて、たまたま日本人旅行者の一部が旅をしてそれを自慢したために、注目が集まっただけだ。

もともとイエメンは、わざわざ選んでまで行くようなところではない。
だって、アラブが見たいならば、エジプトだって、トルコだって、モロッコだって、もっと興味深い国がたくさんあるんだから。

もちろん世界旅行者は自分で行ったことがなくても、イエメンについて語れる。

それは、僕が1996年にナイロビのイクバルホテルに泊まっていたときのこと。
4人組の旅行者に出会った。
するとその1人が、少年ぽい髪型をした女の子だったんだ。
で、彼女は、エジプトからスーダンまで下って、そこからイエメンへ飛び、エチオピアから陸路でケニアへやってきていた。

これは僕もかなりビックリした。
彼女が持っていた詳細なノートを譲ってもらったよ。

彼女ははじめての長期旅行だった。
これもまた、僕が言う世界旅行理論にある「旅行者は初めての旅行で大胆なことをするもの」「男性よりも女性の方がすごい旅をする」という原則に合致していたわけだ。

僕はそのときすでに、エチオピアのビザも、スーダンのビザも東京で取っていて、北へ進もうか、南へ下ろうか、迷っていたからね。
北へ進めば、イエメンへ渡って、スーダンへ飛ぶという彼女の反対方向のルートをとったことだろう。
実際はタンザニア、マラウィ、モザンビーク、ジンバブエ、ザンビア、南ア、と下っていったんだけどね。

1999年にアジアを横断してベイルート(レバノン)へ着いた時、ベイルートから日本へのフライトがどこも満席で動きがとれないことがあった。
そのとき、ベイルートからサナア(イエメン)へのフライトをチェックしてみたら、税込み往復切符が562ドルだった。
この時は、イエメンではなくて、キプロスへ飛んでしまったが。
【危険】
イエメンはイスラム教なので、原則的には旅人には親切。
だが、イスラム原理主義の影響もあり、部族は武装しているので、非常に危険です。
また、日本人旅行者が増えるに連れて、金を持っていることが知れ渡ると、強盗殺人の可能性も予想されます。
イエメンでは外国人の誘拐が頻発しています。

【写真】シバーム
【旅行哲学】世界では注目されてない国が、日本では変に話題に上ることがあるが、それだけの価値があるかどうか、考える人は少ない。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20050918