ビーチの宝石屋@コバラムビーチ/ケララ州/インド

アレッピーからキーロンへバックウォーターボートに乗った後、鉄道でトリバンドラムへと着いた。
北インドでは寒くて震えていたのに、さすが南インドもここまで来ると暑くてたまらない。
町を歩いて、この旅ではじめてクーラー付きのホテルに泊まってしまった。

でもそれも一泊だけで、翌朝にはバスに乗って、コバラムビーチへ。
コバラムビーチにはビーチに安い宿があったが、僕はビーチを見下ろす丘の上のホテル、といっても確か1泊800円程度の宿に泊まった。

ビーチの北側には、かなり豪華なホテルが一つあったのを覚えている。
このころはホテルステッカーを集めていたので、交渉に行ったりしたね。

ビーチへ歩いて降りていくと、途中に掘っ立て小屋の宝石屋があったよ。
本格的な宝石というものではなくて、ただきらきら輝くだけのものが多かったんだけど。

その中では、ムーンストーン(月長石)がステキだった。
きらきらと輝くサンドストーン(砂岩)もあった。

何しろ毎日宝石屋の横を通るのだから、友達になってしまったっけ。
日本にいた女の子に、お土産としてムーンストーンのブレスレットをプレゼントしようかと、毎日交渉していた。
でも結局、買わなかったんだけどね。

ある日、日傘をさした30歳くらいの日本女性が歩いているのをみつけ、話しかけて友達になった。

彼女はスリランカから南インドへ飛んできていた。
僕はバンコクからバングラデシュ経由、ネパールへ入って、陸路でインドへ来て、ずっと下ってきてたんだけどね。

ビーチのレストランでビールを飲んで海を見ていると、スウェーデン在住の日本人中年男性と知り合う。
グータラしゃべっていると、砂浜をノンビリ歩いてきた、日本人学生を見つける。
僕が彼を呼び止めて、結局日本人男性3人、日本女性1人のグループができた。

みんなで夕陽を見ながら、ハッシッシを吸おうということになったが、僕は何しろタバコも肺に入れられないので、ウィスキーを飲んで一緒にいたものだ。

水着はビーチの店で買ったヒモパンだった。
局部をわずかに隠すだけで、他は本当の紐がついているだけ。

こんな水着でも、何しろその前に、ゴアのアンジュナビーチでフルヌードになっていたので、ちっとも気にならない。

ヒモパンを買うときに、店にいた北欧系の白人美女が、僕が安いからと言い値で買おうとすると、「交渉しなさいよ!」とアドバイスをしてくれたっけ。

1人でカンニャクマリ(コモリン岬)へとバスで往復したよ。
コバラムビーチはとても居心地がよくて、友達もできた。

でも、僕はコロンボ(スリランカ)からバンコク、バンコク成田の航空券を持っていたので、そんなに長くはいられない。
スリランカでも、見たいところはいろいろあるんだしさ。

いつか、コバラムビーチを出て行かなければならない。
ただその「サヨナラ」が言えなかった。

だから、ある晩に、みんなと盛り上がって、「また明日ね♪」と声を掛け合った翌朝、僕は1人でこっそりとビーチを離れた。

【写真】コバラムビーチ
【旅行哲学】旅では別れることがとても難しい。